路地に行くほど、面白い。

週末はご縁あってまたや谷根千散歩。

谷根千といえば、まず思いつくのは「夕焼けだんだん」でお馴染みの谷中銀座。

たしかにあのメインストリートだけでも、楽しいこと、美味しいものがギュっと詰まっています。でも、一歩路地に入ったところや、根津・千駄木方面に少し行くとさらに面白いお店がたくさん見つかります。

今回はひとまずお店を2軒ほどご紹介。

 

①CIBIさん(千駄木)

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日暮里側から谷中銀座を通り抜けて左折、千駄木方面に5分ほど歩いたところにある珈琲屋さん。
周囲の古い木造住宅に溶け込むようにお店を構えています。

入り口は、木枠にガラス張りの引戸。

ちょっと中も見てみたい!とスーッと吸い込まれるように入店。

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入ってみると、中は倉庫のようだけどインテリアとの組み合わせでどこか温かみのある心地よい空間でした。

店舗手前は生活雑貨の販売スペース、奥はカフェスペースになっています。(テイクアウトも可能)

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頂いたのは週末限定のモーニングプレート。

メインはカリッと焼き上げたライ麦パンのバケットの上にアボカドが乗った一品。
岩塩をかけたシンプルな味付けなのに、すーっごく美味しかったです。

あれは相当良いアボカドを使っている模様、、、。

中の雰囲気はというと、高い天井かつ入口が大きなガラスの引き戸ということもあって光がたくさん入ってきて、とても開放的。

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音楽も会話の邪魔にならない程度のボリュームで、朝ごはんを食べながらのんびりお喋りするのに最適な環境だな〜と思いました。

来ているお客さんは様々で、近くに泊まっている観光客。ちょっと感度高そうなお兄さん。ランニング後のご近所さんなどなど。

色んな人に開かれた空間で、私自身ものんびりと食べること、その空間にいることを楽しめました。

 

②TAYORIさん(谷中)

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こちらは谷中銀座の途中、えっここですか?みたいな路地に入ると出会えるお惣菜カフェ。

「食べることに向き合う」をコンセプトに、素材選びはもちろんのこと、生産者にも、消費者にも丁寧に向き合うお店、TAYORIさん。

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使っている食材がどこの誰に作られて、どんなストーリーが詰まっているのか、生産者さんからのお便りを読みながら食事を楽しむことができます。

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ちなみにこんな定食を頂きました。

佐賀県の麹をたくさん使ったお味噌汁。

こんなにも後味がふんわりと甘いお味噌汁は初めてでした。

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食後には、こちらから生産者さんに手紙を書くこともできます。

店内にはハガキとペンが用意されており、ポストに投函するとお店が代わりに届けてくれます。

私としては、感想を直接伝えられるという体験をしただけでなく、 言葉にすることで自分の中で食べた記憶も残すことができたと思います。
実に素敵な時間・体験をお裾分けして頂いたな〜と思います。

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帰りには一周年の記念切手まで頂いて最後の最後まで幸せな気持ちにさせられました。

コンセプトが共感できるお店がたくさん見つかる谷根千

また次回、素敵なお店に出会えたらいいな。

※おまけ

帰りにどうしても建築めぐりをしたくなって、急遽上野への国際こども図書館へ。

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企画展のオランダ絵本展(無料)も充実していました。

上野の少し奥まったところにあるので、割と空いていてゆったりと鑑賞できるのでオススメです。

(写真はないけど、お隣の黒田記念館も無料&空いてます)

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(36,37,38/100)

ゆる小さくて、ちょうどいい。

香川の島好きの間でも特に人気が高い男木島。島民の方曰く、たまに他の島からこっそり偵察に来る人もいるとか。

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規模感、ゆるさ、そして猫!!
その全てがちょうど良い。
なかなか上手に言葉で伝えられないので、今回は男木島スナップをパラパラと貼らせて頂きます。

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①フェリー
高松発、女木島・男木島行きのフェリー。
晴れたら是非デッキに。

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②男木島の魂(ジャウメ・プレンサ)
港の待合室。
カメラには収められなかったけど、水面に映る屋根のシルエットにうっとりでした。

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②Wallalley (眞壁陸二)
島の民家がカラフルな風景を纏っています。
廃材を色付けしたものを、外壁に設置したとのこと。

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③記憶のボトル(栗真由美)
島の人、一人一人の記憶をボトルに詰めた作品。よく見ると、フィギュアとか、テストの回答用紙とか入っていて、クスッとします。

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④部屋の中の部屋(大岩オスカール)
部屋の中に90度回転した部屋が。
個人的に一番衝撃を受けた作品かもしれません。だって、床に埋まってる床の間、壁にくっついて使えないちゃぶ台、超クールじゃありませんか?

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⑤青空を夢見て(レジーナ・シルベイラ)
男木島小・中学校の体育館。
私なら、たとえ部活だるいなーと思っても、この体育館だったら「まっ、行こうかっ!」となります。

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⑥歩く方舟(山口啓介)
ノアの方舟からインスピレーションを受けている作品。
4つの山がある方舟が海を歩いて渡ろうとしているところだそうです。訪れたとき、ゲリラ豪雨直後だったので、ノアの方舟感がより一層出ていました。

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⑦男木島キャッツ
猫歩きで有名な岩合光昭さんの影響で、猫の島としても有名な男木島。
猫の数はもちろんのこと、人懐っこさもすごい。猫自らすり寄ってきます。そのグイグイ感は奈良公園の鹿をイメージして頂けると分かりやすいはず。

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以上、まだまだ見どころはありますが、男木島スナップでした。
男木島の魅力、是非自分の目でも確かめに行って頂けると嬉しいです!

(33,34,35/100)

廃屋から、愛され図書館へ。

瀬戸内海に浮かぶ小さな島に、皆んなから愛されている図書館があります。
その名は男木島図書館。
たまたま徳島までの往復の航空券をマイルでゲットしたので、バスとフェリーを使って行ってきました。(※男木島は香川県高松市です)

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ちょうど梅雨明け直後ということもあって、図書館も、島自体も観光客は少なく、のんびりした雰囲気が漂っていました。

図書館に来たときも、お客さんは私ひとりだけ。
図書館の方(オーナーの旦那さん)に出してもらったカレーライスを食べながら、図書館のこと、男木島のことを色々お話しして頂きました。

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男木島図書館は2016年に開館した私設図書館。
築100年の廃屋をリノベーションして建てられました。
写真を見せて頂いたのですが、草や廃材に覆われて何が何だか分からない物体でした。
撤去作業だけで数週間掛かったそうです。

こちらの図書館、オーナーのウェブデザイナーさんと男木島出身の旦那さん、そして建築家さんでイメージを話し合って設計。
改築作業にあたっては、県内外からたくさんのボランティアの方が携わったとのことです。

(ウィキペディア先生には300人以上と書いてありました。)

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私が訪れたときは、後からご近所さんが一人、二人といらしていましたが、普段は島の人たちがゆるっと集まって、お話ししたり、お茶したりしているみたいです。
置いてある本のジャンルは様々ですが、児童書が多い印象。
近年、男木島では移住者が増え(しかもIターン)子供の数もグングン増えているそうです。

旦那さん曰く、島で待機児童が出そうなレベル。
そういうこともあって、子供達の遊び場にもなっているとのこと。

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一方、観光シーズンになると図書館に人が入りきれず外に行列ができるほど混むそうです。
ちなみにお客さんは西日本の方が多いのかなーと思ったら、意外にも関東から来る方が多いらしいです。
最近は海外からのお客さんも多く、一番多いのは台湾。

台湾から高松まで直行便があるためアクセスが良いことも挙げられますが、男木島は台湾の方が持つ日本のイメージにピタッとくる?とのこと。

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旦那さんから図書館のお話を聞いて、図書館の愛されっぷりを知り、何だかこちらまで幸せな気持ちになりました。
そして気付いたら、私もこの図書館のファンになっていました。

次はいつ来れるかな〜。

(32/100)

ご縁はつなぐ、恩はおくる。

先日、旅先でお世話になった方達が東京に遊びに来て下さいました。
いつもちょろっと訪ねてくる観光客の一人にすぎない私を訪ねてきてくれるなんて!とそれだけで嬉しい気持ちでいっぱいでした。
しかも貴重なお休みを使って。

 

①大好きな江之浦測候所に同行させて頂きました。

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②曇天の空が映る海もなかなか◎

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③今回は石もかなり時間を掛けて鑑賞。

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毎回よく面倒を見て下さるので、今回ばかりは!と思っていましたが、結局こちらがお話を聞いてもらったり、面倒を見てもらう側に、、、。
恩返しするはずがまたもや、、、とちょっぴり悔しい気持ちに。
次に会えるのはしばらく先で、直接お返しできないな、どうしたものかと思っていました。

 

③東京人なのに逆に色々いいお店を教えて頂きました。

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④東京に住んでいたら泊まることのないホテルにも一瞬潜入。便乗してすいません、、、。

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しかし、ちょっといいことを閃きました。
人に優しくしてもらった分、今度は自分が誰かに優しくしてあげればいいのか!と。
いわゆる「恩送り」。
発想はシンプルだけど、これを実践できている人ってそう多くないと思います。
(私も実践できてない一人なのです。自分に余裕がなくなってきたときは特に、、、。)
直接恩返しはできなくても、いつか自分が送った恩が回りに回ってお世話になった方達にも届くといいな〜と思います。
だから、このご縁、そして優しくしてもらったことは大切に心の奥にしまっておこう。

 

⑤念願のアボカド同好会。

アボカドを鍋で食べるという発想が今までありませんでした!

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小田原・熱海方面に行きすぎな件。

ここ最近、週末に都内にいると、なにか消費しなきゃっ!有効に時間を埋めなきゃ!と思って辛い。
なので、月二回ぐらいでふらっと東海道本線に乗って海を見たり、車内で読書したり、うたた寝したりしています。

(品川〜熱海の所要時間は約1時間半。読書にはもってこいの長さです)

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今回は思い切って熱海より先へ。
三島駅で降りて、バスに25分ほど揺られ「クレマチスの丘」に行ってきました。
クレマチスの丘は、静岡県長泉町にある文化複合施設。

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クレマチスの花が咲き乱れる庭園の中に美術館やレストランが立ち並んでいます。
美術館は全部で4館。
1日に全部観る体力は流石になかったので、今回はヴァンジ彫刻庭園美術館とIZU PHOTO MUSEUMを観てきました。
(今回はヴァンジ彫刻庭園美術館のレビューを少し書きます)

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もともと、ヴァンジ彫刻庭園美術館須田悦弘さんの企画展が目当てだったのですが、建築が思いのほかカッコよくて楽しさ2倍。
入り口の外観は前庭の石や彫刻と同化するような鼠色のコンクリート

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でも中から外を見ると、コンクリートの箱の中にいるはずなのに何故か外と繋がっているような感覚でした。
自分が何階にいるのか分からなくなる感じとかは安藤建築を彷彿させました。

内観①

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内観②

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内観③

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メインの企画展、須田さんの「ミテクレマチス」はというと。
あっ!やられた、、、。
というぐらい良い意味で騙されました。

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須田さんの作品の特徴は、草花を精巧なまでにすべて木の彫刻で表現すること。
雄しべ、雌しべはもちろんのこと、ちょっぴり欠けた花弁までしっかりカバー。

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本当にため息がでるほど感心してしまいます。
須田さんにとことん騙されましたが、作品の一つ一つは気付かれないようにこそっと壁や天井の隅に咲かせていて、その遊び心にキュンとしました。

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須田クレマチスと戯れた後、お次は本物のクレマチス
庭園には、「えっ、こんなに種類があったの?!」というぐらい、物凄い数のクレマチスが咲き乱れていました。
庭園内にはイスが何脚も置いてあり、疲れたら日陰でのんびり座りながら楽しむこともできます。 

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また丘を少し登ると、クレマチスの花々を見下ろせるカフェやレストランがあります。
私もカフェでスコーンと紅茶を頂きました。

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ささやかなティーセットですが、こんなに花に囲まれてお茶を飲めるなんて夢のようなこと。
(何言ってんだ!って感じですが)、ヨーロッパのお金持ちのお嬢さんが避暑地にある別荘へ家族できました!っていう気分でした。

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都内からの避難?のために何となく来てみたクレマチスの丘。
そうしたら、庭園も、展示も、建築も、丘丸ごと楽しめるステキな場所でした。
少し遠いけれど、ここに着くまでの時間の使い方もいろいろあって楽しいので良かった足を運んでみて下さい!

(31/100)

思考を感覚に、感覚を思考に。

瀬戸内海に浮かぶ、茶色い煙突がトレードマークの犬島。

人口は約50人、1時間もあれば徒歩で島を回れるぐらい小さな島ですが、ここで見たこと、考えさせられたことはとんでもなくスケールが大きかった、、、。

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そもそもこの島に来たのは、好きな建築家、妹島和世さんの作品群「家プロジェクト」を観るためでした。

この作品群は、空き家となった家屋に手を加えて現代アートを収めるギャラリースペースにしたものや、建物自体を一つの作品としたもののことを指します。

アクリルやステンレスを使った現代アートを、古い集落のど真ん中で、景観を壊さずに、そしてときには周りの環境までも作品の一部として魅せる技には脱帽でした。

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でも、それ以上に衝撃を受けたのが「犬島精錬所美術館」。

この美術館は、20世紀初頭に10年間だけ稼働していた銅の精錬所を活かして、近代化の在り方に異を呈した三島由紀夫をモチーフにした作品を収める美術館です。

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犬島と三島由紀夫??

よく分からないんだけど!!と思って、学芸員さんの話を聞いたりパンフレットを読んでみたら、なるほど、こういうことでした。

このプロジェクトの発起人、福武總一郎さんのお話をまとめるとこんな感じ。

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1996年に三島由紀夫の旧邸宅を解体する際、福武さんはその部材を入手し、保存する機会を得ました。

三島由紀夫といえば、高度経済成長期の日本の在り方に違和感を抱き、声を挙げた作家の一人。

そんな彼の思いを生かし、保存する場所として思いついたのが犬島。

というのも、犬島も銅の精錬所という近代化の負の遺産を抱えていたからです。

この犬島で、三島由紀夫の遺品をアートとして再生することで現代社会へ一石を投じたい。というのが福武さんの狙いでした。

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三島旧邸宅の部材は柳幸典さんというアーティストの手によって、作品として姿を変えています。

写真がなくて残念ですが、三島邸の三畳間を天井から吊り下げたり、家の呼び鈴の電池を神棚に祀るように並べてみたりと、あっと言わせるような作品ばかりでした。

と、同時に正直よく分かんないや!!と思う作品も。

学芸員さんに聞いても、それは、、、。と困ってしまうほどの強者作品。

考えすぎて疲れてしまい、一旦頭を冷やしに美術館の屋上へ。

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座ってぼんやり考えごとをしたとき、不意に地中美術館学芸員さんに教えて頂いた格言を思い出しました。

「感覚を思考に、思考を感覚に。」

深い意味までは知りませんが、自分なりにはこんな風に解釈。

言葉って表現方法の一つに過ぎない。

だから、人は言語化できないものを絵や彫刻、音楽で表現する。

そう考えると、三島由紀夫が“言語化”できなかったメッセージが犬島という場所、そして柳幸典さんというアーティストによって、“感覚的”に再提示されたのかなと思えてきました。

よって、こちらもそれを言葉として落とし込む必要はなく、感覚的に受け止めれば良いのかなと。

まさか小さな島で、こんなにスケールの大きい問題を突きつけられるなんて思ってもみなかったです。

何だかやられたー。と思いつつ、ますます瀬戸内海エリアのアートプロジェクトに興味が湧いてきました。

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※島へ降りてすぐ、小さな男の子が駆け寄ってきて摘んだお花をくれるというほっこりするエピソードもありました。

(30/100)

参考 : 犬島精錬所美術館ハンドブック(Art) / 公益財団法人福武財団

 

 

いつも同じで、いつも違う。

週末は今年2回目の香川県は直島へ。
大好きな地中美術館のことをもっと知りたくて、念願のプライベートツアーを予約。
学芸員さんとマンツーマン(なかなかできない経験!)で、じっくり鑑賞してきました。

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睡蓮が描かれた庭を作るために池を掘り、モネが愛した草花を植え、毎日お世話をするジャパニーズ・モネ(島のおじさん)がいる、美術館入り口まで続く地中の庭。

(地中美術館はそもそもモネの睡蓮を飾るために建てられた美術館)

訪れた日の前日に草花の入れ替え作業があったそうで、夏仕様になっていました。f:id:marikojikoji:20180517043914j:image

館内は写真撮影が禁止なので、ここからはパンフレットにて。

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これは初めて知ったエピソード。

地中美術館は全てが恒久展示。

この恒久展示に合わせて、植える中庭の草にはトクサを使っています。
トクサはある程度の背丈に成長すると、先端から枯れるとのこと。
いつ来ても同じ景観を守るためのひと工夫。

このトクサは設計した安藤忠雄さんご自身が選んだとのことです。

でも、自然光を取り入れるた恒久展示は見る時間帯、その日の天気で、その印象は全く異なります。
今までいつも午前中に来ていた展示室。
今回初めて夕方に来て見たらびっくり。
作品の様相がまるで違う。
ウォルター・デ・マリアの作品は西日が斜めに射して、神々しく輝き、日没前のモネの展示室はいつもより一層柔らかい光に包まれて、夕方に描かれた睡蓮を見るにはぴったりの空間に変身していました。

①ウォルター・デ・マリア

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クロード・モネ

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もちろん、ジェームズ・タレルのオープンスカイも切り取られる空はいつ何時も同じものはありません。

ジェームズ・タレル

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自然光や風景の一部を作品に取り入れた恒久展示。
自然との境界線を曖昧にすることで、いつもそこにあるのに、来るたびにその様相は違って見えます。
だから何回来ても、全く飽きないし、展示室を何度も行き来してしまいます。

学芸員さんとお喋りしながら見て回った今回の地中美術館
「あっ!だからこの美術館に惹かれちゃうんだな〜。」というのが分かったり、えっ?!というエピソードたくさん教えて頂き、いつもとは違う楽しみ方ができました。

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直島はこれからハイシーズンに入ってしまうので、作品をゆったりと見るのは厳しいかなと思います。
でも、きっと夏も行きます。
夏の日差しに照らされた睡蓮を見に。