ありがとう、竹中工務店。

何も下調べせずにやって来た神戸。
本屋さんでの立読みで偶然見つけたのが『竹中大工道具館』。
良くわからないけれど面白そう!と思ってとりあえず行ってみたら、神戸での思い出を全て持っていかれるぐらい素敵な場所でした。

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竹中大工道具館は日本で唯一の大工道具の博物館。テクノロジーの発達による手仕事・職人の減少は建築の現場にも広がっているとのこと。竹中工務店は、消えゆく大工道具を民族遺産として保存しよう!という試みとして1984年にこの博物館を設立したそうです。

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宿のお兄さんにこの博物館のことを話したら「混むで〜!」と仰っていたので、朝一で入館。そうしたら、たまたまギャラリーツアーに参加することできました。
以下はボランティアのおじいさんに教えて頂いた博物館の裏エピソードと、展示物のお話です。

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もともと竹中工務店兵庫県庁の隣に30年間オフィスを構えていましたが、4年ほど前に今の新神戸駅前に移転してきました。

博物館もこの移転に伴ってお引越し。社長の私有地ということで、敷地内には博物館以外にも茶室や緑豊かな庭園があります。
新幹線の沿線ということで、建物を建てる際の規制はかなり厳しく、木造の平屋建てに見えますが、耐火性の基準をクリアするために様々な工夫を凝らしています。

お話によると、柱の内部に樹脂を流し込んだり、壁の塗装にも特殊な素材が混ぜられているそうです。

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また、こんな面白いカラクリも。

地上から見ると平屋建てに見えますが実は3階建て。

地下に2フロア埋まっています。

これは社長の木造平屋建てがいい!というこだわりから生まれた工夫だそうです。

館内は地上1階に企画展、地下1〜2階に常設展が展開されています。

企画展は建築や木にまつわる展示が2ヶ月ぐらいの間隔で入れ替わっています。

ちなみに今回は「ジブリ映画にみる建築」がテーマでパネル展示がありました。

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さて、本題の常設展はというと縄文時代の石斧から現在に至るまでの大工道具の変遷を辿ることができます。

実際に道具やその道具で加工された木に触れることができるので大工道具の発達を肌で感じ、学ぶことができます。

また、海外の大工道具の展示もあり、中国やヨーロッパとの比較もできます。

特に興味深かったのは、鉋の削り方の違い。

日本では、一般的に引いて削りますが、朝鮮半島や中国は押して削るとのこと。

押して削ると面が粗くなってしまうのが難点ですが、塗装してしまうので面の滑らかさは求められていないそうです。

他にも枚挙に暇がないほど、面白いエピソードを教えて頂きましたが、是非直接聞きにいってみて下さい。

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建築で一番大切なことは、安心・安全な住まいを建てること。

一つの建物を建てるためにはビックリするほど沢山の道具が使用され、工具の刃を研ぐ砥石の産地も刃によってそれぞれ決まっています。

本当に見えないところにまで、こだわりがあり、時間と手間をとことん掛けているのだな〜と、思わず溜息が漏れてしまいました。
建築好きとして、今まで誰が設計したか?ということばかり注目していましたが、これからはそれを形にした職人さんや道具にもスポットを当ててみようかな!と思います。

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※余談ですが、ギャラリーツアー後にボランティアさんと休憩室でお喋りしたら、その方からまたオススメの美術館や工芸家さんを教えて頂いてさらに楽しみが増えました。

後日行った他の美術館で、偶然にも早速作品を見ることに成功。
あと、次回は一人じゃなくて相方を連れてくるように!!と厳しいお言葉も頂きました、、、。

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